女性として研究職を目指す決意
ーーーAさんは現在の仕事に就かれる前には、高校で化学を教えていられたんですよね?
そうです。
大学では理学部化学科に所属をしていて、もともと薬品や実験が大好きだったんです。
本当は大学を卒業するときも「このまま残って研究をして行きたいな」という気持ちはあったんですが、やっぱり「現実を見なきゃ」という気持ちが勝って就職することを選びました。
教員として過ごした期間は長くありませんでしたが、その時直接生徒たちとふれあい授業をしていくことができたという経験は現在もとても役立っていると感じています。
ーーー転職を決意したときの周囲の反応はどうでしたか?
もちろんたくさん反対されました(笑)。
特に両親なんかは安定した公務員としての仕事を辞めて不安定な研究職に就くということのリスクをかなり細かく指摘してくれましたよ。
ただ私自身その反対はある程度予想していたことなのでそれで気持ちが折れるということはありませんでしたね。
逆に反対してくれたからこそ「絶対に途中でくじけないように精一杯やろう」という気持ちを作ることができたんじゃないかと思っています。
甘やかさないでいてくれたということには感謝しています。
まだまだ珍しい女性研究者
ーーー大学では女性研究者はまだまだ珍しい存在なのではないですか?
そうですね。「リケジョ」なんて言葉はあるにはありますけど、それも希少種だからこそのブランドですからね。
でも私は高校時代から理系クラスを先行していましたし、そもそも大学の理学部化学科に進学してくる女性も少なかったので実験グループの中で自分だけが女性というような環境はそんなに珍しいと感じることはありませんでした。
逆に女友達に慣れていないせいか、久々に女性研究者の方と会うことがあるとつい優しくしたくなってしまいます。
ーーー研究では充実した日々を送っているようですね。
私が今入っている研究室は退職後に入り直した大学院で教えていただいた教授のところなので、最初からある程度研究の方向性はわかっていました。
かなり厳しいことを言われたり、連日研究室に詰めてほとんど寝ないで実験をしたりするということもありますが、基本的には好きなことをやっているのでそれほど苦痛と感じたことはありません。
ただあまりにも無理をしすぎたせいで一時期体調を崩して数日入院をしたこともあったので、今ではペースを守りつつ研究をしていくことを心がけています。
助教授になれたのは本当に幸運
ーーー高校教諭だった頃に比べて生活的な安定性はどうですか?
転職を決意して1番気がかりだったのもその点ですが、私はかなり運が良かったのか准教授ということで採用をしていただくことができました。
大学教授というのは誰でもなれるわけではなく、博士課程を経てドクターになったあと「ポスドク」として一研究員として残るところからスタートします。
ポスドクは自由に研究できる仕事ですが年収は約300万円程度で社会保険もないというかなり収入面で厳しい立場です。
助教授(正確には准教授)になるためにはやれコネだとか空席だとかいろいろなテクニックがあるようですが、やはりタイミングや運、それとそれまでの研究の成果が問われますね。
助教授になってからは年収も一気にあがり500万円以上になったので、一応私の転職は成功ということになるでしょうか。